貨幣における希少性

お金の起源をさかのぼると、縄文時代の「貝」や、金・銀といった「貴金属」などが使用されていました。

 

コミュニティーの中での交換の媒介手段として、自然発生的に貨幣ができたといえます。

 

 

貨幣として機能させるためには、わかりやすくて長持ちするような価値を持たせる必要があります。

 

そのため、希少性のある貝や貴金属が用いられるようになったのです。

 

貴金属は、世界中のどこでも同じような希少性があったために、

 

ニクソンショックまでの数千年間にわたって世界中で通貨として利用されてきました。

 

(銀のように、途中から産出量が増加して価値が暴落した例もあります。)

 

ニクソンショックにより、金兌換製が無くなってからは、各国政府が実物の裏づけ無しに、

 

中央銀行の裁量によって通貨を運用しています。

 

 

つまり、従来の「信用」を支えていた要素のうち、「希少性」の柱が抜けたことを意味します。

 

(⇒信用の本質)

 

今のところ、このことによって世界経済に致命的な影響は出ていませんが、

 

希少性を失った通貨ががどのように機能していくかは今後数百年間の検証が必要とされるでしょう。

 

 

貨幣は希少性が無くても機能する

 

このように、現実にはデータでいくらでも存在し、希少性が無くなった貨幣ですが、

 

私たちにとっては、なかなか手に入りにくいものであることは変わりません。

 

手に入りにくいからこそ、貨幣に価値を感じ、それを貴重なモノや労働と交換する動機になっています。

 

つまり、貨幣は昔と違った意味で「希少性」を持っていることになります。

 

 

今の貨幣が持つ希少性、私たちが感じている希少性とは何でしょうか?

 

 

実は、ニクソンショックに代表される、貨幣を「紙やデータ」におきかえる、歴史的な実験の結果、

 

貨幣における希少性はそれほど重要でないことが明らかになりました。

 

なぜならば、社会のお金の量が増えると、基本的には物価も上がるからです。

 

このような変動は社会に莫大な無駄を発生させるので好ましいことではないのですが、

 

それでも、貨幣を使う者が損を避ける仕組みとして機能しています。

 

 

つまり、「希少性は相対的に維持されている」というわけです。

 

そのシステムを機能させているのは、ほかならぬ、「各人の損を避けようとする動機」です。

 

各人が、お金の変動の匂いを嗅ぎ取って、値段や取引をコントロールし、それが社会に反映するわけです。

 

これを、アダムスミスは「神の見えざる手」と名づけました。

 

 

貨幣は、希少性を失っても構成員の合意があればとりあえず機能したのです。

 

 

では、構成員の合意はどのように形成されているのでしょうか?

 

それについては別敲にて。