経営者なら知っておきたい、法人税節税の基礎

 

○節税対策とは?

 

 節税対策とは、法律の範囲内で税金を節約する手段のことを言います。

 

この法律の範囲内とは、それぞれの税法で規定されている違法行為を行わないことを指しており、

 

法人税法以外にも所得税法や消費税法、固定資産税法などの法律に規定されています。

 

こうした法律や政令・省令を解釈し、経営活動に生かせる資金を残す行為こそ節税対策なのです。

 

 

○節税対策の中心は「法人税」

 

 節税対策にて、中心的に扱われる税金は法人税です。

 

法人税とは、株式会社や合同会社といった、法人が得た所得に対して一定の税率が課せられる税金となっています。

 

つまり、法人税額は「所得×法人税率」として算出されます。

 

そのため、法人税の節税対策は所得を少なくするか、法人税率を下げるかのどちらかの手段になるのです。

 

 

○所得は「益金−損金」

 

 法人税を節税するために所得を下げるには、所得の構成を知る必要があります。

 

所得の構成は益金から損金を引いたお金であり、計算式では「益金−損金」となります。そして、それぞれの定義は以下のとおりです。

 

・「益金」とは、法人税上の収益額
・「損金」とは、売上を発生させるための経費

 

 より分かりやすく説明すると、「益金≒収益」で、「損金≒費用」となっています。

 

そのため、所得税を節税するためには、収益を減らすか、費用を増やすことが必要になるのです。

 

 

○益金を減らす方法

 

 所得を減らすためには、まず益金(≒収益)を減らす必要があります。

 

この方法としては、例えば仕入れのリベートを活用したり、売上発生のタイミングを調整する手段があります。

 

ただし、経営上売上を減らすという行為は平時には行われないため、手段には限りがあります。

 

 

○損金を増やす方法

 

 益金を減らす方法に比べ、損金を増やす方法は数多くあります。

 

例えば、新たに人材を採用したり、プロモーション活動をする、設備投資をするなどです。

 

ただし、あくまで売上を発生させるための経費のみ損金計上できるので、経費に該当する費用の使い方をすることが大切です。

 

 

○法人税率は資本金額で変わる

 

 法人税を節税するもう一つの方法は、法人税率を下げる手段です。

 

法人税率は「資本金額」によって決まっており、1億円以下の企業を中小法人、1億円を超える企業を大法人と法人税法で定められれています。

 

 法人税率は基本的に「25.5%」と決められていますが、中小法人で、所得が800万円以下の場合は「15.0%」の軽減税率が適用されます。

 

資本金額を減らすためには、株主総会を通じて採決を取ればOKです。

損金の概念を知り、代表的な5つの手段で法人税を節税する

 

○法人税を節税するには、損金を増やしたほうが簡単

 

 法人税を節税する際には、益金を減らす方法と、損金を増やす方法の2つがあります。

 

このうち、より簡単で節税効果が高い方法は、「損金を増やす」です。

 

なぜなら、損金として認められる範囲は広く、税務署の指摘も入りにくいからです。

 

そのため、一般的には損金を増やすことによる節税対策が勧められています。

 

 

○費用と損金は違う概念として扱われる

 

 多くの経営者は費用を増やすことによって節税できると思っていますが、厳密には違います。

 

費用と損金は違う概念として扱われるため、損金計上をしていないと節税効果がないので注意をしましょう。

 

・「損金」とは税務会計上の概念であり、売上などの収益を生み出すための使われた経費のことを指す
・「費用」とは財務会計上の概念であり、企業が持っている資金を支出した際に計上される項目を指す

 

 このように損金と費用は違う概念として扱われ、節税対策をするためには損金計上を増やすことを意識する必要があるのです。

 

 

○損金は「費用+損金算入項目−損金不算入項目」

 

 損金を増やすためには、この構成内容と算出式を知る必要があります。

 

損金は「費用+損金算入項目−損金不算入項目」と算出され、それぞれの意味は以下の通りになっています。

 

・「損金算入項目」とは、損金には含まれるが費用ではない項目を指し、国庫補助金などで手に入れた固定資産の圧縮額や、繰越欠損金の控除額などが該当

 

・「損金不算入項目」とは、損金にはならないが費用には含まれる項目で、過大な役員報酬・賞与や、過剰な減価償却費などが該当

 

 節税をするためには、損金に含まれる項目を知ることが重要です。

 

そして損金計上できる経費の使い方をしない限り、節税効果が期待できないので注意しましょう。

 

 

手段その1 在庫を減らす

 

 損金計上する方法として、売上原価を増やすことが第一に挙げられます。

 

そして、売上原価を多く計上するには「在庫を減らす」ことによって実現できるのです。(??)在庫を減らす手続きには以下のようなものがあります。

 

・在庫を廃棄処分する(※廃棄処分したことを証明する必要がある)

 

・低価法を採用して、評価替えを実施する(評価額を下げる)

 

・値引き販売を実施する

 

 このように在庫を減らす方法にも種類があるので、適宜自社に合っている方法をとるとよいでしょう。

 

 

手段その2 費用の前倒しをして、損金計上する

 

 来期以降に支払う予定の費用を、今期に前倒しして支払うことで損金として扱うことができます。

 

こうした前倒しが出来る費用は多数あり、例えば以下のようなものがあります。

 

・人材採用費用(採用広告や企業説明会など)

 

・広告宣伝費用(商品販売広告やプロモーション活動など)

 

・修繕費用(20万円以下の修繕作業)

 

 

この他にも費用を前倒しにすることで損金計上できるため、事業拡大のために費用を使うとよいでしょう。

 

 

手段その3 福利厚生を厚くする

 

 販売費および一般管理費を増やすことにより損金を増やす手段があります。

 

この方法には、福利厚生を厚くする以下のような手法があります。

 

・社宅を用意する(※契約方法に注意が必要)
・生命保険に加入する(※加入内容によっては損金計上出来ない場合もある)
・社員旅行を提供する(※社員全員で行くなどの条件がある)

 

 この他にも福利厚生を厚くすることで損金計上出来ます。ただし、それぞれ損金計上する条件を満たす必要があるので注意しましょう。

 

 

手段その4 設備投資や不動産などを買う

 

 企業が所有している設備や不動産は、1年で費用を計上せずに、複数年に分けて計上することがルールになっています。

 

この費用の計上方法を減価償却といいます。減価償却を使った以下のような節税方法があります。

 

・中古自動車を購入して短期間で損金計上する(購入する自動車やタイミングが重要)
・社員寮を購入して、耐用年数で減価償却する(建物は構造によって耐用年数が変わる)

 

 このような方法を取ることで、減価償却費を計上でき節税効果を高められます。

 

ただし、耐用年数などの決まりがあることから、減価償却できる割合には違いがある点に注意しましょう。

 

(※減価償却はルールであり、それ自体が節税方法になるわけではない)

 

 

手段その5 退職金を利用して、節税をする

 

 従業員に支払う給与や賃金と併せて、退職金も損金計上できます。

 

一般的に退職金支給額は「最終月額×在任年数(×功績倍率)」で決まるため高額になり、高い節税効果があります。

 

 また、退職金は課税額も給与より少なくて済みます。

 

これは(退職金支給額−退職所得控除)×1/2×所得税率となっており、通常の所得の半分の税額で済むからです。

 

そのため、退職金を利用することで、特別損失を増やし、損金額を増やせるのです。

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